廃硝子を陶磁器材料とした環境にやさしい陶磁器製造方

1.廃硝子を陶磁器に
2.原料及び素地の性質
3.廃硝子の釉薬
4.白さについて


廃硝子を陶磁器に

  愛陶工技術アドバイザー

    高島廣夫工学博士  



 21世紀の零ミッションの時代を見込んだ陶磁器の隘路打開のために、リサイクルの好材料として、屑硝子を有効にリサイクル事で、低温焼成の製品が仕上がることを推奨したいと思いますので、概要を掲載し皆様の参考に供します。

 平成11年3月31日の新聞に、こんな記事が載った「ワインブーム廃瓶の山築く」と。つまり捨て場に困っているのである。いま社会ゴミの分別回収が各地方行政の間で進められ、その中に瓶硝子がある。硝子工場では初期の頃より同種の破損あるいは屑硝子をカレット材料として回収し利用していた。したがってリサイクル工業の象徴的存在であった。形状の一定な、ビール瓶や一升瓶などは色付きでも、そのまま回収再使用さていたことは周知の通である。でも、回収再使用が経済的に不利な異形硝子瓶は破損物でなくても廃棄処分に回されていた。
 現在はどうであろうか、瀬戸や尾張旭では家庭からでる空き缶や空き瓶を再資源ゴミとして分別籠で集め処理業者に渡している。処理業者はビール瓶や限られた銘柄のウイスキー瓶にように、そのまま洗浄して使える物は、それぞれの食品製造工場に引き取ってもらっている。それは今も昔も変わらない。問題は引き取り手の無い瓶詰め硝子や破損した屑硝子である。それも更に色分け、種類分けをすれば硝子工場の方でカレットとしてリサイクルをしてくれるようであるが、一般廃棄物として埋立などの処分に廻していることが多い。したがって上述のようなことが新聞記事として報道されることになる。
 9月5日の新聞に光学会社が不用となった回収メガネ硝子を処理し、舗装用材料としてのリサイクルを考えていると報道された。そこまで来た21世紀は零エミッションへの時代であるから先見の企業方針と新聞は扱っだのだろう。これからの零ミッションへの世論の監視は益々厳しくなること素直に受けとめれば、産業廃棄物はもとより、家庭、社会廃棄物も極力有効再資源化を図らなければならない。そんなときに、地方行政、あるいは廃棄物を排出する業界が考えるは環境行政の網をかわしながら経済的見地を天秤にかけ、安全に廃棄処分することを優先させているのが現状である。したがって有効再資源化は、おろそかにされがちになる。つまり上記の新聞記事も世論の反発を、かわして処分する方策の探求に終始していることが、あらわであって、もったいないこではなかろうか。
 筆者は以前から、硝子屑を陶磁器の媒熔原料として有効にリサイクルしなけばと考えていた。その理由の一つは、今や瀬戸は白雲陶器で作るノベルティが壊滅状態であることから、それを再興させる方法はないものかと?。それには低コストで、しかも価値の高い新しい製品を開発することしかないと思っていたのである。瀬戸が、かつて成功したノベルティは現在では近隣新興諸国に世界市場を奪われてしまったから、今や従来方式のままの白雲陶器ノベルティでは過去の隆盛を、もう一度と言うには大変、厳しいものがある。そこで考えるのは瀬戸でしか出来ない価値のある焼き物をリサイクル原料を用い、パイオニア精神を発揮し、新しいジャンルの製品開発しかないと思うのある。そんなことを環境問題と絡めて叫ばれている零エミッション、リサイクルの好材料として屑硝子を陶磁器に、と言うことがあるのではないかと常々思っていた。そんなことで白雲陶器と同等の低温焼成の焼きものを硝子屑を用いて作ろうと、かつて国家公務員であったときから、合間みて密かに実験をしていたのである。今や上記のような新聞記事が載るようになって、いよいよ、それを実行しなければならないときが来たと思えてならない。
 技術的な理由は下記のようである。例えば白雲陶器の利点は低温で焼成でき、カラフルな加飾ができる。しかも軽量である。けれども欠点は強度がないことと2度焼きであって釉は往々にして鉛を用いるため、いわゆる食品公害の対象から逃げれることが至難であって、瀬戸の陶磁器産業として頭の痛いことが科せられていた。それに、今や近隣諸国の追い上げを受けるに至っては、世界市場に再度、幅を効かすのは極めて厳しい情勢にあると言える。けれども過去を、もう一度とノスタルジアを巡らす人のあうのも人情と言うものであろう。では、白雲陶器の壊滅で起こった、この不況を克服するに、どんな方策がるのだあろうか。ここで述べるような提案もパイオニア精神を発揮して新しいジャンルを開拓することと考え、捨て石になるとも覚悟してやってみては如何なものかと思うのである。筆者は先ほど瀬戸の原料の丸ごと利用を提案したが、つぎに提案すのが屑硝子の有効利用と思い立ったのが本記事を書く理由である。
 さて、白雲陶器の最大の利点は低温焼成だあった。それを屑硝子の使用で行い欠点だあった弱強度も克服し、しかも21世紀への橋渡しにもなる有効リサイクルに位置ずけて考えたとき、廃硝子利用低温焼成陶磁器の開発は次世代に合致するもであることは受け合である。磁器を作るには米国のレノックスはフリット磁器を製品化した。フリットは硝子の一種でるから、それを廃棄硝子に置き換えても磁器が出来ることは誰でも思いつくことである。理論的にも成功することは間違いない。筆者は前述のように、この種の実験をしていたが、それを現在の瀬戸の原料で作るとすれば以下のようになる。原料の化学分析値は、

  

                               

 

SiO2

TiO2

Al203

Fe203

MgO

CaO

K2O

Na2O

Ig.Ioss

Total

硝 子 屑

72.88

0.05

2.06

0.19

0.67

10.48

0.95

12.55

-

99.83

大平長石OF-11

76.24

0.02

13.11

0.08

0.04

0.43

6.98

2.83

0.27

100.00

本山木節原土

49.98

0.81

28.92

0.83

0.17

0.25

0.68

0.12

18.24

100.00

珪組A原土

82.26

0.13

10.82

0.26

0.04

0.08

2.54

0.63

3.24

100.00

鼠石灰石

0.40

-

0.20

0.02

0.04

55.05

0.05

0.20

43.80

99.76

大分ドロマイト

2.99

-

-

-

15.17

36.33

-

-

45.48

99.97

陣屋「珪砂

98.12

-

0.63

0.09

-

-

-

0.21

-

99.05

        

ZnOは工業用の亜鉛華を用いることとする。
かつての経験をもとに素地のゼーゲル式を、
KNa・(0.155K
2O・0.845Na2O)・0.703CaO・
0.063MgO・Al2O
3・10.000SiO2
とすると、配合は、
屑硝子          43.53%
大平長石OF-11       9.85
本山木節原土       25.16
珪組A原土        21.49
陣屋「珪砂        −0.03
となる。

釉のゼーゲル式を、
0.400KNaO(0.026K
2・0.374Na2O)
0.050MgO
0.450CaO
0.100ZnO
0.300Al
2O3・3.000SiO2
とすると、配合は、
屑硝子      61.82%
本山木節原土   31.19%
鼠石灰石      2.51%
大分ドロマイト   1.74%
亜鉛華       2.74
陣屋珪砂      0.00%
となる。焼成温度はSK05aつまり1000℃程度よい。 しかし、これは未検証であるから、近い内に製造法を確立して皆様に伝えたいと思っている。

原料及び素地の性質

 前回「廃ガラスを陶磁器に」と言う記事を載せましたが、今回は、その続編である。前回は、筆者が若かかりし時の実験を思い出して、取りあえず、苦境にあえぐ陶磁器界に新思考を促す動機にならないかと提案してみたのであったが、その時の筆者自身が具体的な実験をして物を作り、提示してみせなければ説得力がないと思ったのである。それから実験を重ねたのであるが、ここに、ある程度の目処がついたので報告させて戴く。
 廃ガラス、つまり屑ガラスは前回に述べたように地球上にありふれてる。けれども21世紀の初頭から産業生産物は零エミッションの達成を,と叫ばれているようにリサイクルが否応なしに義務付けられるこのになる。でも過度期であろうか環境行政と産業行政の間には、今だ、しっくりしないものがあつて、なかなかうまく行かない。そんなことは筆者自身も充分認識しているものであるが、さりとて陶磁器産業にも、取り入れて行く気構えを今から培って行かないと時代に取り残されてしまうだろう。
 今でも、廃棄物を50%以上利用すれば生産物としての特典が与えられる制度がある。それを陶磁器産業界でも活用すれば有効性が生み出せるのであるが、制度と陶磁器製造上の技術との間には、なお深いギャップがあり、それを埋めるための、努力が、これかれの課題だと思う。その越えなければなれないハードルの一つにユーザーに「陶磁器とは何か」と言う深い認識と愛情を得なければならず、そのための努力を業界として取り組まなければ成らない。つまり理不尽な機能的欲求や制度設定に不適があり、それを是正してもらう必要がある。けれども、それを説明、説得するだけの力が陶磁器産業界にあるだろうか。また、当然な要求に対する陶磁器界の認識不足も否めない。そのことが陶磁器業界としての超えなければならないハードルだろう。
 そんなことを考えながら廃ガラス利用低火度磁器の普及を図りたいのであるが、ここに報告するものは、そんな付加利点のみを求める物ではなく、立派に価値ある。見栄えの高い製品が出来る手法であることを訴えたい。
まず、手始めに瀬戸市と尾張旭市の廃棄物処理場を訪ねてみた。これも前回記載したように行政は回収するだけで、その処理は幾分の処理代を支給して業者に任せている。しかし陶磁器産業に廃ガラスを有利に活用できる態勢を築くにはコスト易再資源化するシステムの整備が必要だるう。市場経済の現在であるから陶磁器界に有利なシステムの確立には少なからずの屈曲や摩擦・軋轢が伴うだろうが、それを構築しなけてば、その成就はないと思うのである。以下、まだ開発途上と言えるが、これまでの経過を報告する。

1.実験
1.1.原料
 さて、本題の報告は、まず、実験であるから上に述べたような社会情勢を考えながら、家庭がら廃出されるコーヒー瓶や瓶詰め瓶、清飲料水瓶等の無色透明瓶を無作為に集めて金臼で粗砕しポットミルで微粉砕して、本目的のための原料とした。つまり、その廃硝子粉を素地にも釉にも最も主要な原料とするのである。目的は白雲陶器に代わる低火度焼成の磁器であるから、白雲陶器にように手軽に製造でき、なおカラフルな色彩が可能な価値の高い物と言うイメージを持たせたいのである。そのための設定焼成温度は1000℃から1100の酸化焼きとすることにした。
 廃ガラスにはビール瓶やワイン瓶のような色つきが多い。それらは白色磁器に用いることはでいきないが、色付きの素地でも、造形や他の加飾方法よって価値を生み出すこはできるから、そのような廃硝子も積極的に利用しなければならない。
 素地は成形しなければならないので屑ガラス粉に瀬戸で産出する粘土原土を併用することにする。また補助剤として砂婆喪原料に加えた。釉は廃ガラス粉のみの1100℃焼成で融液化はするが、その温度ではの粘稠度が高くて、使いやすい釉と言う訳には行かない。その解決にはフリットを使用すれば、訳ないことであるが、なるべく兼価に製造でき、しかも価値の高い物にしなければ意味がないので、輸入天然原料ではあるが硼酸カルシュウムを主体としたコレマナイト鉱物を用いることにした。それらの原料の科学組成を表1に示す。
 通常用いている原料の素性解析は何時も記載しいるので省略するが、ここで特に、この試験のための原料のした屑硝子のUフラックスおよびCフラックスの素性を解析し、それを表2に示しておく。つまり屑硝子は、ほぼ、Na
2O・CaO・6SiO2で普通のソーダー・ライムガラスと言われる組成である。UフラックスはNa2O・2.45CaO・5.80B2O3・18.43H2Oで天然鉱物であるNa2O・2SiO2・5B2O3・16H2Oに近く、Cフラックス2CaO・2.82B2O3・5.47H2Oで2CaO・3B2O3・5H2Oに近い。

1.2.素地の性質
 素地は本紙第444号と同じである。それを表3に示す。その配合物をポットミルで一昼夜粉砕した屑ガラスを用いているため、それよりNa
イオンが溶出して強く解膠し、いわいる「シャビャビ」で鋳込み成形が、し難く、むしろ苦汁を加えて泥奨粘稠度の調整をしたくらいであった。でも泥奨状態を調節すれば鋳込み成形に支障はない。
 何度で焼結するか、また、色合いは、どうであるかを調べてみた。表3は、その結果でる。900℃、1000℃では、まだ吸収性があって焼成収縮も小さい。1100℃では吸収性はなくなり焼成収縮は10.01%で充分に焼縮した。焼成色を見てみよう。このときYはCIEの明度であって緑黄の強度で表示する。Wはハンター白色である。白さは一般に黄味より若干青味の方が白く感ずるので青色白色の表示、Bも示した。このようにB表示白さでは1100℃で焼成したものは900℃、1000℃より約6ポイント高く白さの高いことを示している。それはW表示の約2ポイントより差が大きくて判別し易い。Yでは白さの判別は出来ない。このように、試験した素地では1050℃〜1100℃で磁器化して、しかも普通の高火度還元焔焼成磁器に遜色ない出来映えの素地に仕上がるのである。

廃硝子の釉薬の作り方

1.3.釉
 この低温焼成磁器に施す釉を考えなくてはならない。まず、ガラス屑粉のみを素焼き素地に施して1100℃で焼成してみたが、一応融けた。けれども焼成最高温度でも粘稠度が高くて滑らかな釉にすることは出来ない。ガラス屑粉に石灰石や炭酸バリウムなどを加えてみたが、それでも融かすことはできず成功しなかった。このような場合、常道ではフリットを加えることになるのであるが、この試験の目的が廃棄物のリサイクルであり、しかも低価な製造でなくてはならないの天然鉱物のコレマナイト鉱物を用いて低温度で製品化できる釉の開発を目指すことにしたのである。
 種々試験した結果から、二、三の良好な白色透明釉を表5.に示した。このように、まだ、試験の段階であるから、なるべく簡単な配合を考えてみた。つまり、ガラス屑粉とコレマナイト鉱物のみの配合を考えてみたのである。Uフラックス使用釉で(A6釉)及び(A7釉)が良好な白色透明釉であったがガラス屑にUフラックスを20%から30%加えればよいことになる。AlOやSiOを増やた透明釉を目指して見たが、そのようにすと漸次、表面は艶消し状になってしまつた。例えば(A10釉)であった。
 コレマナイト鉱物としてUフラックスと組成が異なってるCフラックスをもちいた場合でも白色透明釉ができるだろうか。できるのである。それを(C3釉)として示しておく。この場合Cフラックス使用ではB2O3のモル比が高くなるので、それにつれてSiO2のモル比も増すことになる。
 このように性状を一定に、しかも安定にするために配合計算は間違いない正確性を図らなければならない。その方法は本紙435号と438号で述べている方法を採ることである。
 図1に素地の線熱膨張曲線を示しておく。このように線熱膨張係数は7.96×10
−6/℃であった。釉は計算推定値であるがA7釉で8.16×10−6/℃であるから、ほぼ素地と釉との間の適合性はあっているので、これで欠陥ない酸化焔焼成、低火度の白色磁器ができる。低温焼成の磁器であるから、きっとカラフルな加飾も可能だろう。また、釉に鉛を用いることはないので重金属溶出の心配もない。このようなことをメリットに掲げて21世紀初頭のリサイクルと公害防止の両面を具備したものとして陶磁器産業に加えてもらいたいのである。

                 

                    表1.用いた原料の化学分析値                              

 

 SiO2

 B2O3

 Al2O3

 Fe2O3

 MgO  

 CaO  

 K2O

 Na2O

 Ig.loss

 Total

ガラス屑

 72.88

  −

  2.06 

 0.19

  0.67

 10.48 

 0.95

 12.55

  −

  99.83

大平OF-11

 76.24

  −

 13.11

 0.08

  0.04

  0.43

 6.98

  2.83

 0.24 

 100.00

木節原土

 49.98

  −

 28.92

 0.83

  0.17

  0.17

 0.68

  0.12

 18.24

 100.00

珪組A原土

 82.26

  −

 10.82

 0.26

  0.04

  0.08

 2.54

  0.63

3.24

 100.00

鼠石灰石

  0.40

  −

  0.20

 0.02

  0.04

  55.05

 0.05

  0.20

 43.80

  99.76

大分ドロマイト

  2.09

  −

  −

 −

 15.17

  36.33

  −

   −

 45.48

  99.97

陣屋珪砂

 98.12 

  −

  0.63

 0.09

  −

  −

 0.21

   −

  −

  99.05

Uフラックス

  3.68

 40.61

  0.07

 0.01

  1.72

  13.83

  −

  6.25

 33.37

  99.54

Cフラックス

  4.66

 44.67

  0.01

 0.02

  2.45

  25.50

 0.01

  0.03

 22.39

  99.74

                表2.ガラス屑、UフラックスおよびCフラックスの素性

 

  K2O

  Na2O

  MgO

  CaO

  Al2O3

  B2O3

  SiO2

       

ガラス屑  

  0.024

  0.488

  0.040

  0.449  

  0.049 

   −

  2.917

 

                        (Na2O2.45CaO5.98SiO2)

 
 

  K2O

  Na2O  

  MgO

  CaO

  Al2O3

  B2O3

  SiO2

  H2O

Uフラックス

   −

  0.258

  0.109

  0.632

  0.002

  1.495

  0.157

  4.353

                     (Na2O2.45CaO5.80B2O3・18.43H2O)

 
 

  K2O

  Na2O

  MgO

  CaO

  Al2O3

  B2O3

  SiO2

  H2O

Cフラックス

   −

  0.001

  0.118

  0.881  

   −

  1.243

  0.150

  2.411

                        (2CaO2.82B2O3・5.47H2O)

 

      表3.素地の組成

1.000KNaO

           

ガラス屑粉

3.53%

(0.155K2O)

 

大平長石 OF-11

9.85%

(0.845Na2O)

Al2O3・10.000SiO2

木節原土

25.16%

0.703CaO

 

珪組A原土

24.49%

0.063MgO

 

陣屋珪砂

-0.03%

焼成温度1050℃での測定線熱膨張:7.96×10-6/℃

(A7釉)

     

0.550KNaO

 

ガラス屑粉

67.84%

(0.030K2O)

2.600SiO2

ドロマイト

0.10%

(0.520Na2O)

0.045Al2O3

 

石灰石

-0.64%

0.040MgO

0.569B2O3

木節原土

0.29%

0.410CaO

 

Uフラックス

32.00%

   

陣屋珪砂

0.41%

推定線熱膨張係数:8.16×10-6/℃

      表4.焼成した素地の物性           

      

   

   白さの表示

焼成温度

吸水性

焼成収縮

 Y

 W

 B  

 900℃

 有

4.95%

72.60

80.50

57.48

1000℃

 有

6.67%

73.77

80.09

57.89

1100℃

 無

10.01%

70.39

82.86

63.56

1100℃

A7施釉物の釉面

69.94

83.01

64.64

(A10釉)

     

0.550KNaO

 

ガラス屑粉

47.15%

(0.030K2O)

4.500SiO2

ドロマイト

-0.55%

(0.520Na2O)

0.150Al2O3

 

石灰石

-0.03%

0.040MgO

0.569B2O3

木節原土

8.72%

0.410CaO

 

Uフラックス

22.24%

   

陣屋珪砂

22.41%

推定線熱膨張係数:6.17×10-6/℃

     表5.良好であった白色透明釉

(A6釉)      

   

0.545KNaO

           

ガラス屑粉

78.53%

(0.031K2O)

    

2.700SiO2

ドロマイト

-0.40%

(0.514Na2O)

0.040Al2O3

石灰石

-0.44%

0.035MgO

 

0.375B2O3

木節原土

-0.63%

0.063CaO

 

Uフラックス

22.92%

 

陣屋珪砂

-0.02%

推定線測定線熱膨張:8.60×10-6/℃

(C3釉)

     

0.520KNaO

 

ガラス屑粉

57.46%

(0.035K2O)

3.020SiO2

ドロマイト

-0.03%

(0.485Na2O)

0.048Al2O3

 

石灰石

-0.06%

0.039MgO

1.131B2O3

木節原土

-0.02%

0.441CaO

 

Uフラックス

42.63%

   

陣屋珪砂

0.02%

推定線熱膨張係数:6.29×10-6/℃

    

白さについて


1.はじめに

 開発したカレット磁器は白雲陶器並の低温焼成で磁器化し、カラフルな彩色が出来て、しかも屑硝子を使用するリサイクル製品である。屑硝子以外の原料も全て原土、原石を用い、釉もフリットを用いずに硼酸源はコレマナイトを用いて調整した。焼成は素焼き素地に施釉して1050℃程度を設定した一度焼きである。こ
のような製造設定は、これからの環境保全の趨勢にも合致し、原料流通の工夫次第では製造コストも安く陶磁器製造のジャンルとして有用性は極めて高いと信ずるものである。

2.白さの比較法

 前報ではカレット磁器の製造法および、その特性を報告した。本開発試験は、当初、落ち込みの激しい白雲陶器の救済を目的とした新思考と位置づけたが、普通磁器に代わる低温焼成磁器へと目的の中心が変遷するにつれて、磁器を定義する透光性、吸水性、白さを、より問題視しなくてはならなくなった。前報で透光
性、吸水性等は詳しく述べているので、今回は、その続報として外観と白さを探ってみる。それと同時に陶磁器の白さとは何か、白さ表示数値は実際の感性と、どのように結びつけられるか、そんな、間違いのない評価の在り方についても述べてみることにした。
 種々、多々の試験をしたが、そのうちの幾つかの配合を材料の銘柄及び素性と共に表1から表3に整理しておく。
 図1は、左側に1050℃酸化焔(電気窯)で焼成した場合のマンセル色表示と白さを表で示してみた。また右側は、それを図にしたものである。このとき○印実線はハンタ−白度(HW)、×印(BW)、■印実破線はCIEの明度(Y)である。それらの白度表示には、それぞれの特徴がある。CIE明度は視感(Y:薄緑)を、そのまま表したものであり、ハンタ−白度はCIE明度と、ほぼ比例関係にあるが高い値を呈するので、各方面で好んで使われる。
その出所から、わかるように、黄色味を帯びた白いものの測定に有利な表示法である。青色白度は字の如く青色視感度(Z)を1.18で除した値で表示する。それは若干青みの白い物のが白く感ずるという人間の習性から設定された方法である。

3.評価

3.1.素地の配合
 素地は4種類を評価対象とした。そのような配合の違いが外観にどんな影響を及ぼしたかを考えてみう。
 配合1.は屑硝子利用を主目的にした陶磁器であるから屑硝子を41%と、かなり多く用いている。それは、また、1050℃で磁器化させなければならない配慮したことでもある。陶磁器は成形を司る可塑性原料が最も大切であるから、そのために可塑性豊かな木節原土を19%用いた。けれども、それだけでは可塑性と珪
酸分が不足するため、その両方を補なう必要がある。瀬戸には、それに、打ってつけの珪砂土原土がある。それを40%配合した。また、この磁器の主旨は瀬戸で産する原料を丸ごと有効に利用し、しかもコストを低くすることも目的とするので、粘土原料は全て原土を用いることにした。でも組成変動の激しいのが原土で
あるから何時も安定な配合を得るための工夫が必要である。それには前から提唱しているように、原料に組成変動があっても慌てない配合計算をすることである。
それなくしては合理的な配合は成り立たない。この配合1.素地は、1050℃で普通磁器並の白さと透光性を持つ磁器に仕上げることができる。
 配合2.は、白さを求めて木節原土に替えて風化カオリンを用いてみた。そのようにすると珪砂土原土を減らさなければならない。それはアルカリの不足を来すので、それを補うため大平長石 OF-11を用いた配合である。風化カオリンはタイルなどに粗原料として使われることがあるが、その品質のよいものは鉄分やチ
タン分の含有量が少ないので、白く焼き上げるには都合のよいものである。けれども可塑性の乏しいことが大きな欠点である。
 配合3.は配合1.と同じゼ−ゲル式で木節原土を暁白土原土で置き換えた配合である。鉄分やチタニヤ分が多いため薄い黄褐色に着色してしまう。 以上3者の配合は、ほぼ、ゼ−ゲル式が同じであるから焼成したものの物性は白さを除けば同じである。
 配合4.は白色透明屑硝子を色付き硝子に置き換えた配合である。配合1.から配合3.は何はともあれ、出来る限り色を白くしようとする配慮が込められているが、配合4.は色付き硝子を用いるのであるから、この種の磁器につきものの成形能を克服するため、白さを犠牲にしてでも瀬戸で可塑性原料として誇ることができる木節原土を充分に採ってみた。それによって成形能は大きく向上し、しかも1050℃で充分に磁器化させることができるのである。

3.2.白さの測定
 さて、ここにあげた4種の素地の白さを調べてみる。白さの表示は前述のように、いろいろあるが、1050℃酸化焔で焼くカレット磁器であるから還元焔で焼く普通磁器のように青味を帯びることはないのでハンタ−白度(HW)が有利な表示法と思われ勝ちである。でも、青色白度(BW)は各配合による白さの差を大
きくとることができて比較評価をするには一般磁器と同じように良い表示法と言える。
 図1.の最左端の集団で分かるように、最も白いのは配合2.であって(HW)で、87、(BW)で74は陶磁器として最も高級品に値する数値であった。それは並磁器より白いことはもとより、白さ、だけから言えばボンチャイナよりも白く、高級白磁器に匹敵するものであった。配合1.でも並磁器より白い
のである。
 配合3.でも白さ、そのものは並磁器以上であるが図の左端のマンセル色表示を配合1.と較べてみる。配合1.は4.0Y 8.3/0.9で、配合3.は2.2Y 8.0/2.2であった。つまり、4.0Yも 2.2Y も黄色と言うことになるが、接頭数字が大きい程、同じ黄色でも緑味掛かっているとは言える。明るさを表すのが真ん中の数字
であるが配合1.の 8.3と配合3.の 8.5では、あまり変わらない。違うのは右の彩度を表す数字で配合1.は 0.9と数字が小さく、それは色つきが薄いこと表していて、それに較べると配合3.は 2.2 で小さいながら0.9よりは大きく、若干、黄褐味の色が付いていることを示している。色つき硝子を用いた配合4.は、肉眼でみても配合3.より明るく色つきも少なく見える。それを図1.が、よく示している。
 一般に社会から屑硝子として回収されるのはワイン瓶やビ−ル瓶のような色つき屑硝子が多い。しかし、配合4.でも捨てた物ではないと言えるデ−タ−であった。つまり、環境行政、経済性を考えると、この種の磁器として有利性を高く持たすには、色つき屑硝子を用いなければ意味がない。その他の原料の選定次第
では結構使える屑硝子ではないかと言える。

3.2.実務的な白さ表示法
 陶磁器の白さを数字で表現するのは難しい。図1.の集団の真ん中は施釉した並磁器、ボンチャイナ及び高級白色磁器の白さを(HW)(Y)(BW)で表したものである。肉眼では並磁器は黄味でもなく青味でもなく白さは並と言う感じである。ボンチャイナは黄味の白さ、高級白色磁器は青味を帯びた白さを感ず
る。そこでボンチャイナと高級白色磁器で、どちらが白いか人に聞いてみた。主観もあるから、人によってはボンチャイナと言い、人によっては高級白色磁器と言う。このように白さに対する人の感覚は好みによって区々であるから基準を作ることはできない。それには光学定数が人間の感覚に微妙に影響するからであ
る。
 白さを感ずるのは、まず、光の反射率が高いことである、それでも、ここに挙げたボンチャイナのような少し黄色味と高級白色磁器のような若干青味のものでは白いと言っても感じが違うのは周知の通りである。また、光反射も正反射の光沢釉面と拡散反射の艶消し釉面では感じが違う。それを一口に言えば艶も白さを
左右すると言える。例えば絹と木綿で測定数値からは同じ白さが得られたとする。でも絹と木綿では白さの感じが違うのと同じである。このように白さは、ただ光の反射率が高いことだけで表すことはできず、正反射か拡散反射であるか、そんなことが大きな問題となる。
 陶磁器の場合は透光性や薄い色も関係してくるのである。アルミナを沢山導入した給食用強度強化磁器は白い。同じ白さが表示された高珪酸質磁器と較べてみたとき、アルミナ導入磁器の方が白く感ずる。それは表面に近い層で拡散反射が多いためで、それに較べて高珪酸質磁器では光の透過が大きくて器物内部の暗い
ところを感じてしまうから肉眼では白さが劣るようにみえる。けれども当世では白さを数字で表示することが信用されるので、本試験も、数字で白さの比較をしてみる。
 最初に並磁器は、ともかくとしてボンチャイナと高級白色磁器を比較してみる。さきに述べたようにボンチャイナは黄味白であるから、前述のように(HW)が有利である。けれども高級白色磁器より数字が低い。また並磁器も、それに接近している。では(BW)ではどうか。並磁器は、かなり数値が低く白さが
劣ることがわかる。ボンチャイナは黄味であるからやはり、この表示法では白いと言う値にはならない。ところが高級白色磁器は青味白であるから(BW)は、大きく数字が跳ね上がり白さの誇張となる。つまりボンチャイナのような黄味を帯びた白さの評価は(HW)が有利であり、青味を帯びた還元焔焼成の磁器は
(BW)で比較・検討した方が白さ表示の差も大きくとれて実際的である。
 そんな考えから図の左端集団で素地配合の違いによって、どの白さ表示が適切であるかを考えてみる。(BW)では数値は高いが差は、それぞれ接近していて、白さの感覚的な違いを汲み取ることは難しい。むれども(BW)は差を大きくとれて、どんな色違いが白さに差を付けているかを汲み取ることができる。つ
まり、白さが劣ると言っても白土配合(3)は黄褐味を帯びることによって白さの低下をきたすが、色硝子配合(4)は黄緑味を帯びた白さの低下であって、その方が低下程度を小さくとることができる。還元焔焼成をする磁器では青色表示(BW)が適切であることは前述の通りである。このように陶磁器の白さ評価は
表示法を使い分けなければならない。
 白さの低い白土配合(3)や色硝子配合(4)でも乳白釉を用いれば、それだけ白く感じさせることができる。それは釉内部に無数に存在する分相粒や微細な結晶粒の界面で光の散乱があって、数値的にも肉眼的にも白さが増すのである。
したがって、屑硝子を用いた、この種の焼き物は素地と釉との適合を、よりよく考えたデザイン(設計)しだいで価値高いものを作ることが可能であると思う。  釉は経済性を考えてフリットを用いていない。つまり硼酸分を天然鉱物のコレマナイトから摂取するのである。これで、どんな低火度の透明釉、乳白釉、艶消
し釉も作れる。
 上の4種の素地に透明釉を施した場合、図の左から2っ目集団のように白さは無釉の場合と殆ど変わらない。ただ乳白釉(分相性)や乳白剤のチタニヤやジルコンを添加した乳白釉あるいは乳濁釉を施すと、光沢があっても釉中内部の光散乱があって白く見せかけることができる。その様子を図の左から4つめ集団が示
している。 右端の2つの集団は参考のために、銅、ニッケル、コバルト等の遷移元素添加で色釉にしたものの色表示と明るさを記しておいた。





          表1. 用いた原料の素性

             (化学分析値)
  

  SiO TiO AlO FeO MgO  CaO K NaO BO Ig.loss Total
カレット 72.88 0.05 2.06 0.19 0.67 10.48 0.95 12.55 - - 99.83
大平OF-11 76.24 0.02 13.13 0.08 0.04 0.43 6.98 2.83 - 0.27 100.00
木節原土 49.98 0.81 28.92 0.83 0.17 0.25 0.68 0.12 - 18.24 100.00
珪組A原土 82.26 0.13 10.82 0.26 0.04 0.08 2.54 0.63 - 3.24 100.00
風化カオリン 66.84 0.05 21.89 0.25 0.02 0.06 0.79 0.06 - 6.55 99.51
暁白土 66.34 0.87 22.58 0.77 0.16 0.12 0.53 0.16 - 8.48 100.01
鼠石灰石 0.40 - 0.20 0.02 0.04 55.05 0.05 0.20 - 43.80 99.76
大分ドロマイト 2.99 - - - 15.17 36.33 - - - 45.48 99.97
陣屋珪砂  98.12 - 0.63 0.09 - - - 0.21 - - 99.05
Uフラックス 3.68 0.07 0.07 0.01 1.72 13.83 - 6.25 40.61 33.37 99.61
Cフラックス  4.66 - 0.01 0.02 2.45 25.50 0.01 0.03 44.67 22.39 99.74

            

            

            (ゼ−ゲル式)

  SiO K20 Na2O MgO CaO  Al2o3 SiO3 BO H2O
カレット 0.511 0.024 0.487 0.040 0.449 0.049 2.917 - -
大平OF-11 0.933 0.577 0.355 0.008 0.060 1.003 9.885 - -
木節原土 0.032 0.025 0.007 0.015 0.016 1.000 2.933 - 3.569
珪組A原土 0.350 0.254 0.096 - 0.013 1.000 12.904 - 1.694
風化カオリン 0.044 0.039 0.005 0.002 - 1.000 5.415 - 1.693
暁白土 0.037 0.025 0.012 0.015 0.010 1.000 4.987 - 2.125
鼠石灰石 0.004 0.001 0.003 0.001 0.982 0.002 0.007 - -
大分ドロマイト - - - 0.376 0.648 - 0.050 - -
陣屋珪砂  0.001 0.001 - - - - 0.995 - -
Uフラックス 0.865 - 0.865 0.365 2.115 0.005 0.525 5.000 15.880
Cフラックス  0.003 - 0.003 0.285 2.127 - 0.363 3.000



             (鉱物構成)

  長石 正長石 曹長石 珪石 粘土  ドロマイト 石灰石 その他
カレット - - - - - - 硝子
大平OF-11 64.940 41.092 23.849 31.885 2.324 0.182 0.666 -
木節原土 5.567 4.444 1.123 15.159 78.386 0.860 0.027 -
珪組A原土 20.548 15.164 5.348 61.226 17.998 0.185 0.044 -
風化カオリン 5.168 4.661 0.507 41.745 52.938 0.091 0.057 -
暁白土 4.583 3.200 1.383 38.593 56.262 0.748 -0.167 -
鼠石灰石 2.004 0.298 1.706 -0.745 -0.467 0.185 99.023 -
大分ドロマイト - - - 0.003 - 69.699 27.298 -
陣屋珪砂  1.252 1.252 - - - 97.719 1.029 -
Uフラックス (NaO・2CaO・5BO・16HO) コレマタイト
Cフラックス  (2CaO・3BO・5HO) コレマタイト

            

表2.素地の配合      (ゼ−ゲル式) 

  KNaO KO NaO CaO  MgO AlO SiO
配合1 1.000 0.145 0.855 0.730 0.060 1.000 11.500
配合2 1.000 0.186 0.814 0.510 0.058 1.000 11.000
配合3 1.000 0.106 0.890 0.783 0.070 1.000 11.500
配合4 1.000 0.087 0.513 0.483 0.039 1.000 8.000

      (注)配合4.は緑瓶、褐色瓶を半々程度の屑硝子を用い成形能を向上さ
      せるために粘土分を多くしたものである。

 (配合)

  カレット 大平OF-11 木節原土 風化カオリン 暁白土原土 珪組A原土  珪砂
配合1 40.88 - 19.11 - - 39.75 0.26
配合2 37.79 17.67 - 31.85 - 11.70 -0.02
配合3 40.22 - - - 31.11 34.06 -0.39
配合4 33.22 - 35.30 - - 32.10 -0.42


3.釉の配合  (ゼ−ゲル式)

  KNaO K NaO MgO ZnO CaO AlO SiO BO
釉1 0.550 0.224 0.326 0.060 0.100 0.090 0.360 3.600 1.148
釉2 0.550 0.042 0.508 0.040 - 0.410 0.150 3.000 1.657
釉6 0.300 0.108 0.198 0.020 0.400 0.270 0.145 2.250 1.304
釉7 0.500 0.083 0.417 0.040 - 0.460 0.130 2.700 0.662
釉13 0.450 0.076 0.374 0.034 0.126 0.400 0.150 2.600 0.518


 
             (配合)

  カレット 大平OF-11 ドロマトイ 石灰石 亜鉛華 Uフラックス Cフラックス 珪組原土 珪砂
釉1 - 54.8 -0.6 5.1 1.6 39.2 - - -0.3
釉2 20.12 - -0.61 2.81 - 55.24 - - -0.84
釉6 16.66 23.95 0.52 3.03 7.76 - 48.48 0.33 -0.73
釉7 37.73 24.35 0.28 4.73 - 33.12 - - 0.23
                (木節原土)  
釉11 38.16 23.35 0.01 4.26 3.19 27.60 - 3.06 0.37

   性状:釉1.2.7.11.は光沢透明釉、釉6.は光沢乳白釉である。
  機械的強度:1050℃電気窯焼成でビスク焼成物は750kgf/cm2、施釉物は1100kgf/cm2
  であった。